ハイパーインフレーションに似ている漫画についての考察
ハイパーインフレーションはカテゴライズが難しい漫画である。
ギャグ、シリアス、特殊能力、経済、頭脳戦、バトル、軽快なセリフまわし、シュール、ショタ、おっさん、etc..
あらゆる要素が闇鍋的に盛り込まれ、絶妙なバランスで配分されており、
それが本作の魅力なのだが、逆に人に勧めにくい要因でもある。
主に生殖能力の代わりに偽札を出す能力を得るという独特すぎる設定のせいだが。
そのため読者間でも似ている漫画をあげろと言われると、
かなり意見が分かれるだろうが、自分なりに分析して、
いくつかの漫画との類似度を個人的にまとめた。
おそらくこのあたりの漫画が好みであれば、
ハイパーインフレーションは受け入れられる可能性が高いのではと仮説をたてる。
■ゴールデンカムイ ◎本命
個人的には最も近しいと考えるのはゴールデンカムイかなという印象である。
物語の進行度が全然違うので比較しづらいが、以下のような共通点がある。
・敵味方がその都度の状況の利害関係によって入れ替わる点
・実際の歴史や人物をベースにした世界観(ハイパーインフレーションは現実世界ではないが、ヴィクトニア帝国はイギリスがモデルの可能性高い)
・魅力的(変態的)なおっさんキャラ多数
・シリアスとギャグのバランス
特に1点目が特徴的と考えており、
いずれの作品も主人公との利害関係の変遷により、各勢力の関係性が変化する。
ハイパーインフレーションでは10話の引き「さっさと戦闘んぞ」でレジャットを全力で応援していた読者が大半だったと思うが、
たった1話で急転直下し、要警戒の危険人物へとする描写はさすがである。
ゴールデンカムイも目まぐるしく各陣営の勢力変動が起きるため、
展開の読めなさが似ている点と考える。
歴史的背景や文化事情をうまく話の展開に盛り込んでいる点は両作品とも絶妙であり、
神や信仰を動機付けや話の導線に持ってくるのがうまい点も似ている。
1話におけるルークのカムイ(ガブール神)への扱いを見たらアシㇼパさんは卒倒しそうだが。
ハイパーインフレーションはまだまだ登場人物が少ないが、
一癖も二癖もある老獪な大人たちは、
ゴールデンカムイの囚人達の曲者っぷりと渡り合えるキャラクターの濃さである。
また、登場人物たちは真面目にやっているはずなのに、
それが結果面白いという構図も似ており、
作者の作家性の高さを感じる。
■彼岸島シリーズ ○対抗
Twitter上に本意見があり、最初はうーんと思っていたが、
漂う空気感は確かに近しいものがあるかもしれないと思いなおし、対抗とした。
・独特のワードセンス
・ツッコミどころのある描写
・やたらと体格のでかい仲間
本当にその言い回しが最適なのか!?と軽く脱力する、
いわゆる「パワーワード」が随所にある点は似ている。
ただし、彼岸島の松本先生は本能で、
ハイパーインフレーションの住吉先生は計算で、導出しているような気がするが。
また、そうはならんやろという描写も両者多い。
特に彼岸島は状況を打破する都合のいいアイテムが随所にあり、絵面が面白くなりがちである。
スピンオフの彼、岸島でも盛大にネタにされている。
ただし、ハイパーインフレーションは、
オークション会場の一切リアクションしないハルが実は人形だったことや、
ダウーのとんでもない体格にも理由があった、のような、
読んでいる途中は突っ込みどころなのが、
実は伏線だったりするので、厳密には似て非なる点でもある。
彼岸島にはでかい仲間枠として、
島では和尚、本土では鮫島が仲間にいる。
脳筋な点もダウーに似ている。
■いじめるヤバイ奴 ▲穴
世界観や時代背景など全く異なるが、
群像劇のうまさという点が両作とも素晴らしいことがあげられる。
・無駄のない描写の中でちりばめられた伏線から、それぞれの思惑が入り混じる群像劇。
・主人公が全力で頭脳を使った戦い
いじめるヤバイ奴について某Vtuberが引き算で作られた作品と評していたが、
ハイパーインフレーションも同様に引き算で作成し、
読者が喜ぶ描写をトッピングするスタイルと考える。
各個人がそれぞれの思惑と目的で行動することで、
主人公が当初描いていた絵図は破綻するが、
物語としての面白さが加速していく様は近いものを感じる。
またいじめるヤバイ奴の主人公仲島は、
戦闘能力や異常度はほかの登場人物達とは格落ちするが、
その劣勢の中で最大限の思考・行動を行っており、
ルークと重なる部分もある。
■戦闘破壊学園ダンゲロス ×大穴
ダンゲロス読者であれば、主人公ルークの能力設定など気にもならずに、読めるだろう。
なんせいかれた設定の能力者がわんさかいて、
性に関する能力者が大部分なので。
その一点に関しては似ているが、こちらは基本能力者バトルなので、
話のスケールや展開は大きく異なるので、大穴枠とした。
ただし、ダンゲロス読者であれば、
ルークの設定など全く違和感なく受け入れられ、
少なくとも引くことはない。むしろ物足りない能力と映るだろう。
ルークがダンゲロス世界に迷い込んだら、
偽札と精液を同時に出すという能力にカスタマイズされそう。
最強の転校生である。
以上、4作品を例にあげたが、
本命のゴールデンカムイですら、そこまで高い類似度といえないのではないかとも感じており、
改めて本作ハイパーインフレーションが唯一無二の作品であることが自分の中で浮き彫りになった。
もし、他にこれはどうかという作品があれば、
ぜひ候補をあげていただきたい。未読作品であれば読ませていただきたいので。