warayamanga

主にハイパーインフレーション(漫画)について書いていきます

ハイパーインフレーション 22話感想

ゼニルストン自治領に突入するものとばかり思っていたが、

まずは外堀を埋める段階のようで、三つ巴の戦いが始まった。

今回はルーク、フラペコの成長を感じる素晴らしい回だった。

以下、感想。

 

 

■フラペコの成長とそれを認め称賛するグレシャム

 

ハイパーインフレーションらしからぬ(?)さわやかさを感じるやり取りだった。

ただ優秀で命令に忠実なイエスマンより、

自身の頭でしっかり考え、時に反対意見を打ち出すほうが評価を高くしているあたり、

自身も美学と信念をもってカネ儲けに徹しているグレシャムらしい。

実際フラペコの査定がいくらなのか気になる。ダウーより低かったら笑うが。

 

フラペコも感極まっている様子で、

ルークというかけがえのない友人を手にし、

尊敬する人物からの称賛の言葉をもらったフラペコの胸中たるや。

もう許嫁には会わなくてもよいのでは?

 

 

■地下偶像(アイドル)ルーク

 

狂乱の会場で露出度の高い未成年が大金持って踊っていた(真実)。

先ほどのやり取りがハイパーインフレーションらしからぬ分、

こちらはハイパーインフレーションらしさ全開である。

グレシャムも大興奮。

 

暗い地下、カネ、救世主のありがたいお言葉。

信者を作るという目的のため、宗教のお手本のような判断力を奪うフルコースで、

ガブール系ヴィクト人達は完全に酔っぱらっている。

ルークもあんな多人数に見られながらカネを出すのはさぞ快感であろう。

 

 

■クルツとグレシャムの和解(表面上)

 

個人的にグレシャムがルーク陣営に入った時に、

この二人が相容れない点を懸念していたが、

やり手ルークはその関係すらも利用して、

宗教には欠かせない奇跡の一部として有効活用してきた。

教祖の才能をビンビンに感じる。

 

グレシャムがクルツを5ベルクと言い放ったのは、

実際に老いぼれの価値を低く見積もっているのか、

相手への威嚇なのか微妙なところだが、

あくまで肉体的には推定70代の元奴隷に商品価値が無いという点で、

わりと本音で言っているようにも思う。

 

そしてクルツさん、あんた60歳まで奴隷だったのか。

そうだったんかよ。かわいそうに。

60歳まで奴隷なのに解放されて物凄いスピードでのし上がって妻と娘がいることを考えると、

ある意味グレシャムよりすごいのでは。

ショーシャンクの空に」の囚人たちも見習うべきである。

 

 

■だがやはりグレシャムグレシャム

 

ルークやフラペコの成長を素直に認めながらも、

帝国と交渉するという点のリスクについてしっかり想定して、

虎視眈々と裏切りの計画を立てるグレシャム

 

この男の過去編だけでも数話使えるくらい、壮絶な過去がありそう。

青年期グレシャムの話みんな読みたいよね。

 

 

■帝国サイドの贋札対策

 

私もずっと懸念していたが、

ルークの1万ベルク札発行は強力ではあるが、

帝国側には新紙幣発行という手がある。

ただ、それだけでは新紙幣と旧紙幣の交換時に結局混乱を招くという点では対策としては不完全な点があったが、

しっかり現行紙幣の流通停止・回収と預金封鎖のおまけつきである。

実行さえされれば、対策としては限りなく完璧に近い。

 

だが、個人的に気になるのは帝国内でのレジャットの評価。

能力が優秀なのは間違いないのだろうが、

優秀故に煙たがられている可能性も考えられる。

特にガブール系の迫害は現在でも残っているので、

帝国の中枢でも同様の感情の持つ人物がいてもおかしくない。

 

また、レジャットはルークの能力のほぼ全容をつかめているものの、

証拠の現物は持っていないので、

かなり強硬な3策を帝国が採用するかどうかは揉める可能性を残している。

 

仮に問題なく実行に移すことが決定した場合、

帝国の準備と、ルーク陣営の偽札配備とのレースになる。

ルークの1日のマックスが1億ベルクから増えているかはわからないが、

皮算用時の365億ベルクを作っている暇はさすがにないだろう。

ただ、政府と交渉を行うレベルとなると例えば10億ベルク程度では心もとない気もする。

2ヶ月分60億ベルクくらいは準備がいるのではないだろうか。

 

 

■個人的な対策案、および今後の可能性について

 

レジャットの対策とは別の方法でルークの能力を封殺するリスキーな手として、

私が考えるのが、帝国側が意図的にハイパーインフレーションを起こすことである。

 

現時点でルークの能力が脅威なのは、1万ベルクが帝国でも最も高額な紙幣であり、

それ自体の価値が高いためである。

 

ただ、仮にハイパーインフレーションが起こり物価が10000倍になった場合、

1万ベルクは現在の1ベルク相当まで落ちてしまうため、ルークの能力の脅威は実質的に排除できる。

その後、ベネズエラのように通貨の切り下げ対応を行う。といった手もあるのではないか。

 

ただし、ヴィクトニアは覇権国家であり、

ハイパーインフレーションを起こすと多くの混乱が巻き起こるという点では、

贋札が流通してしまう結果と大きく変わらないため、決して良策ではない。

他国からの信頼低下は避けられないため、ベルク自体の価値が失墜するためである。

 

ただ、意図的に起こす場合は帝国側は民衆の反応などに備えることができるため、

強引に数十年規模の物価上昇を超凝縮する案はありえそうではある。

なによりタイトル回収として、ハイパーインフレーションは誰かが起こすことを考えると、

グレシャムによる贋札流通は少し予想通り過ぎる気もする。

 

 

 

 

かなり珍しいタイプの三つ巴となったルーク、グレシャム、レジャット。

果たして勝利を落札し、己が欲望を満たせるのは誰なのか。

予想困難な23話が今から待ち遠しい。