ハイパーインフレーション 31話感想
贋札も量産体制に入り、いよいよ売却のフェーズにうつる。
しばらくあまり出番のなかったあの男がついに動き出す。
■ハイパーノートの番号の部分だけ変えればいいんじゃないか?
!!
しっかり顔芸で答えてくれる律儀なルークであった。
流石にその技術は現時点ではないための贋札製造でしっかり理由があった。
決して読者からのツッコミ回避のためではない。
そして重要な描写としてあったのが、
ルークが自分のハイパーノートが、
紙の繊維に至るまで同じということに気づいている点だ。
もちろん番号も一緒で同一のコピー製造なので、
同じであるという想像までは容易に至るだろうが、
顕微鏡での検証を行っているあたり抜け目がない。
レジャットにみすみす餌を与える行為になることについても考慮しているのも強い。
腰の重い上層部たちもリスク承知で以前のレジャットの案を強硬採決しては交渉もくそもない。
■ダウーは数字が分からない
ダウーはたかだか一か月程度の船旅の中で片言のヴィクト語を使えるようになっているので、決して知能が低いわけではない(ダウーのうぇーい顔から眼をそむけながら)。
なので、いつか数字の概念を覚えるはず。
完全な暴力要因であるダウーが数字を覚えて、
智略でルークの窮地を救う展開があるかもしれない。
■レジャット陣営……
色々頑張っているが、3カ月結局ルークの居場所は分からずじまい。
ヒントは掴んでいるようだが、あと一歩が及んでいない。
無能とは言わないまでも現時点ではかなり遅れをとっているのは事実。
ここから挽回はあるのか。
■グレシャムの旧知の魑魅魍魎
予想通り出てきた悪党たち。
以前仲良しといっていたグレシャムの闇の人脈。
ほんとに仲良しだった。
そしてグレシャムに全幅の信頼を寄せている…
あいつらに贋札を売りつけてやるぅぅ~ とか
信頼関係は換金可能なのだァ!!とか言ってましたよ!
■グレシャム先生による営業講座
なるほど営業とはこうやるんですね。勉強になります。
ハッタリと真実を織り交ぜて、
自身のシナリオに沿って周囲を翻弄する様は、
さすがは表裏の世界で存在感を持つ大商人だ。
以前もそうだったが銃口を突き付けられても反応すらしない。
いったいどれほどの修羅場をくぐってきたのだろうか。
やはりグレシャムの知能に対抗できるのはレジャットしかいない。
船での裏切り合戦のような勝負をもう一度見たいものだ。
■グレシャム商会!!復活だ!!
今回の話はこの最後の演出がすべてといっても過言ではないくらい感銘を受けた。
グレシャムは船での戦いで足を失い、表の商会での立場も奪われ、二重の意味で失脚していた。
だが、その状態から得意の商才で復活までの道筋をつくり、
松葉杖を捨て自分の足で歩きだした。二重の意味で失脚からの復活を示唆しているかっこよすぎる演出である。
さらにいつか出るだろうと思っていたグレシャムの法則の代名詞的文句、
悪貨は良貨を駆逐する については、
このタイミングでかつアレンジして出てきた。
このページのTシャツを作るか悩むくらいだ(絶対着れないけど)。
グレシャムの手腕で贋札の販売ルートは無事に構築。
そろそろレジャット陣営の反撃開始か……?