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主にハイパーインフレーション(漫画)について書いていきます

ハイパーインフレーションという漫画について 概要

四半世紀、相当な量の漫画を読んできて、多くの心揺さぶる作品があったが、

過去最大クラスの感動と興奮と疑念と笑いに包まれた作品に出合った。

それはジャンプ+連載中の『ハイパーインフレーション』である。

とてつもない魅力のつまった本作だが、

まずは概要を下記にまとめる。

 

◆2020年11月27日 少年ジャンプ+にて連載開始 基本隔週金曜日更新

◆2021年4月30日現在で12話まで公開中、単行本は1巻(5話まで収録)既刊

◆作者の「住吉 九」先生は初連載(おそらく)

◆公式のあらすじ抜粋 

 ガブール人の少年・ルークは大切な人を守るため「カネで戦う」ことを決意する…!!「超速!連載グランプリ2019」ゴールドグランプリ獲得作、堂々開幕!! 

 

見ての通り、比較的最近始まった漫画であり、まだ12話までしか公開されていない。

通常、この時点ではまだまだ世界観や設定などの掘り下げの段階でもおかしくないのだが、本作品は現時点で圧倒的なハイパーインフレーションワールドを読者に届けることに成功しており、読者もいい感じに毒されている。

私およびおそらく多くのファンが魅力に感じている点は主に以下の点である。

 

◆奇抜な設定と世界観とのギャップ

公式のあらすじ自体かなりスリム化されているが、本漫画は架空の世界を舞台にしている。ただし地球の18~19世紀ごろ?の文明レベルや空気感がベースになっている。

主人公のルーク少年はガブール人という民族に属する。ガブール人はガブール神という神を崇拝しており、現実世界の先住民のようなイメージままの集団である。

また、この世界にはヴィクトニア帝国という大国があり、広大な領土・武器を有し、奴隷狩りも行う。アヘンもばらまいているようなので、イギリスがモチーフだろう。架空の世界ではあるが、決してファンタジーではない。ただ一点を除いて。

 

その一点とは、ルーク少年が持つ「力」である。「能力」と言い換えてもいい。

それは、「生殖能力の代わりに帝国紙幣1万ベルク(偽札)を体から出せる」という、どうやったら思いつくのか見当もつかない突飛な能力である。この能力は後天的に習得しており、1話目でガブール神から授かった能力である。

 

この、ともすればただの無双漫画となりそうな設定だが、制約もちゃんとあり、偽札は通し番号がすべて同一であること。生殖能力が代償であるため、大量に出すと体がだるくなる(本日現在、一日一万枚程度がMAX見込み)などの特徴があるため、決して無敵ではない。

 

このギャグのような能力を大真面目に最大活用しようとするルークおよび周囲の人間達が繰り広げる丁寧な頭脳戦がほかの作品では見たことがない空気感を生み出しており、次の展開を読みづらくしている要因にもなっており、常に新しい感覚に襲われる。

 

◆独特なセリフ回し

私の偏見だが、ハイパーインフレーションファンの最も多数派勢力は独特のセリフ回しが癖になる層だと思うくらい、この漫画だからこそ許される言い回しが随所に光る。

 

私はこの感覚は作者が絶妙な「ずらし」を意図的に行っていると仮説を立てている。

この状況の最適で自然な言葉ではないが、決してありえないというわけではない、非常に狭い範囲の言葉を添えるセンスが巧みで、シリアスな笑いを体現している。いわゆる「パワーワード」の連続となる。

 

もともと、読んでいるときにも作者の住吉先生が狙って書いている、意図的なにおいは感じていたが、単行本帯のコメントを見て確信に変わった。未読の方はぜひ単行本を買っていただきたい。

 

 ◆魅力的なキャラクター達

名前ありの登場人物は現時点でもほとんどいないが、全員が自分の信念を持ちながら、どこかおちゃめな性格のキャラクターたちが物語に彩り(笑い)を加える。書くことが多いためそれぞれのキャラクターについては個別にまとめたいと思う。

 

 

まだまだ魅力的な要素や、語るべき点の多い本作だが、概要としてはここまでにしておく。ハイパーインフレーションの人気もどんどんインフレしてほしいとの思いで、記事を書き溜めていきたいと思う。