ハイパーインフレーションとSOUL'd OUTの類似性
別記事にてハイパーインフレーションのお供に聞きたい音楽についてまとめ、
個人的に最もしっくりくる楽曲としてSOUL'd OUTの「ALIVE」を挙げたが、
そもそもハイパーインフレーションという作品とSOUL'd OUTに多くの共通点があると感じた。
その共通点及び根拠について以下にまとめる。
■そもそもSOUL'd OUTとは OK,Here we go!
SOUL'd OUTを知らないクルー向けに概要を紹介する。
活動期間は途中の休止期間もあるが、概ね1999年~2014年。
メンバーはメインMC・ボーカルのDiggy-MO'、
ヒューマンビートボックス・MCのBro.Hi、
トラックマスター兼キーボードのShinnosuke、
以上3名からなるヒップホップグループだ。
2014年にShinnosukeの脱退により既に解散しているが、
未だに多くのファンがおり、YouTubeの公式チャンネル動画の再生数も順調に伸びている。
コメントも比較的新しい内容がちらほらある。
英語と日本語が目まぐるしく混ざり合う高速かつ独特なリズムのラップが特徴的で、
またMC二人の歌であることもあり、カラオケで一人で歌う難易度がとんでもなく高い。
私もまともに歌える(決してうまくは歌えない)楽曲は、
『ALIVE』と『VOODOO KINGDOM』と『ルル・ベル』くらいである。
シングル曲は大体何かのタイアップだったため、
どこかで聞いたことあるという人も多いのではないだろうか。
私はデビューシングルの『ウェカピポ』がランク王国のテーマソングだったのを聞いたが最初の出会いである。
『ウェカピポ』や『Magenta Magenta』は、
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ内でキャラクターとして出ているので、
ジョジョファンの間でもなじみが深い。
また、一応断っておくが、
私はSOUL'd OUTはアルバムを持っていたが、
シングルは買ってなかったので、
ガチのファンからするとにわか知識しかなく、
ヒップホップも凄く造詣が深いわけではないので、あしからず。非全能。
■独自の世界観と作品に対する姿勢について welcome to S.O world!
SOUL'd OUTはヒップホップのアーティストの中でも、
オンリーワンであり異質な存在であったことが多くの記事で言われている。
そしてこれだけ独自の世界観を持ちながら、
楽曲の個性がはっきり分かれており、あまり似た楽曲が無く、
幅広いジャンルのサウンドを取り入れている。
ハイパーインフレーションも、別記事で似た漫画としていくつかあげたものの、
基本的には既視感のない、新感覚を味わえる漫画なので、
似通った部分があると考える。
またSOUL'd OUTはネットではよくネタにされがちである。
やれMVがダサいだの、ジャケットがダサいだの、何言っているかわからなくてダサいだの、、、
彼らはいたって真剣に取り組んでいるのだが、一部の人間には滑稽にカッコ悪く見えてしまうのだろう。
そして、これはまさにハイパーインフレーション1巻のカバー折り返しで、
住吉先生が書いていた内容ドンピシャである。
そう、そんなのは最高なのである。
真剣に取り組むがゆえに、
本来は相反する要素であるカッコよさとカッコ悪さが同居して、最高な作品・存在に昇華されているのが、
ハイパーインフレーションであり、SOUL'd OUTなのだ。
■誰も真似できない唯一無二の実力 ア アラララァ ア アァ!
世界観が唯一無二なのは前述の通りなのだが、
それならば、模倣してしまえばいいだけのように思う。
ただ、SOUL'd OUTの楽曲は単純に歌うのが難しく、そもそも模倣が困難なのだ。
もちろんShinnosukeとDiggy-MO'の作るメロディも独創的で同じく模倣が困難。
まるで世界最高の偽造防止技術がつぎこまれているベルク札のようである。
ハイパーインフレーションも、あれだけ多くの要素を入れ込みながら、
物語の破綻やギャグのくどさを起こさせない非常に繊細なバランス感で作られており、
同じ世界観をほかの漫画家が真似しようと思っても、
どこかで違和感や無理が生じることが想像できる。
ツイッター上でも同業の漫画家達が、どうしてこんな面白い漫画がかけるのかと驚嘆するツイートが散見されるが、
当時のヒップホップ業界でもSOUL'd OUTは同じような立ち位置だったに違いない。そうだろ?…
■類まれなる言語センス・教養の深さ Listen up clear up tha 言語プロセッサ
媒体の違いはあるが、どちらも印象に深く残るワードや言い回しが非常に多い。
着こなしが自然すぎる!! 絶妙なこなれ感がある!!
私に価値はないぞ
う~ん 涅槃!! etc…
・SOUL'd OUT軍
塩が足んねぇよ 笑いとまんねぇよ
得意技で"シャガメ!"
何も失わずに手に入れたものなどくれてやる etc…
言葉だけ抜き取っても面白さやカッコよさを感じるが、
これに漫画表現や曲とアクセントが絡むだけで、
その威力・魅力は倍増する。
また、ただ突飛なだけではなく、随所に見せるインテリジェンスが作品の価値を高める。
ハイパーインフレーションでは奴隷の運搬方法や種類が豊富な大砲の弾など、
小ネタとして散りばめられた知的なネタが本筋のリアリティを補強している。
SOUL'd OUTも、『VOODOO KINGDOM』では中二病心をくすぐる英単語や熟語が贅沢に散りばめられており、
『COZMIC TRAVEL』は宇宙旅行がテーマの歌だが、
「あかく翔んでく宙見上げれば天地が逆さ」という歌詞では、
おそらく赤方偏移によって宇宙の光が赤く見える様子を表していたり、
宇宙創造の歴史や宇宙の情景を、神話などもなぞりながら表現しており、
知性・芸術性を心地よく感じることが出来る。突然クリストファー・コロンブスが出てきたりする歌でもあるが。
以上が、ハイパーインフレーションとSOUL'd OUTの類似性を感じる所以である。
もし、いずれかしか知らない方がいれば、ぜひ試してみてほしい。きっと好きになるはずだ。
勝手な予想だが、住吉先生もSOUL'd OUT好きだと思う。
○○が好きな人に悪い人はいない理論は好きではないが、
ハイパーインフレーションとSOUL'd OUTが好きな人は心が優しい人が多いと思う。なぜなら、
(ジャンプ+やYouTubeでの)コメントが優しすぎる!!絶妙ななれ合い感がある!!