ハイパーインフレーション 29話感想
贋札製造まであと一歩と順調に見えるが、
そこはハイパーインフレーション。
他の陣営やさらには陣営内部でも何やら動きがある様子。
■良い警官、悪い警官
警察の人かどうかという以前に、ヨゼンはヴィクトニア人じゃないのだが、
どの程度の珍しさなんだろうか。
いつもの考えなしの喧嘩かと思いきや、
人心掌握のプロ(ルークを除く)であるレジャットのショーだった。
ヨゼンの「あのオッサンが一番悪い警官だ」というセリフには全読者が共感しただろう。
尋問されているガブール人もよくいる厄介オタクみたいな精神性で笑えるし、
グレシャムが普通の10,000ベルクを1.2倍で売っているのは、
この状況でしかできない錬金術である。
本当に商売がうますぎる。のだが、グレシャムを巻き込んだがゆえに、
このガブール人のような反発する信者がでてしまったという点は、
現代の偶像ビジネスにも通ずるものがある。
あとこのガブール人ひげが生えたり消えたりしている。。。
単行本で修正されるとは思うが。
■ゼニルストンにハルはいる
ガブール人の証言によりレジャットはゼニルストン自治領の奴隷解放が目的だと推理した。
大正解である。すさまじい推理力。
ルークの状況をほぼ正確に把握し、
分かっていないのは実質居場所だけになった。
ルークのやり方は危険すぎる 止めてあげないと というセリフがレジャットのいびつなルークへの感情を表していて怖い。
■一方、ゼニルストン自治領では
ゼニルストン自治領の農作物を足元を見て格安で買いたたくヴィクトニア政府。
奴隷制を廃止していても実情はこんなものである。
日本の外国人実習生問題を見ているようで気分が暗くなる。
そんな時は目をつぶって救世主のカッケェ姿でも思い起こすとしよう。
オオオオオ
ハイパーインフレーションの過去の面白絵面の中でもトップクラスのインパクトだった。
ただ、かなりぐろい。ロイコクロリディウムが寄生したカタツムリのようだ(検索非推奨)。
しかしこの姉弟、両方とも教祖紛いのことをしているが、才能がありすぎる。
■ルーク陣営は盤石…?
そしてわれらがルークは能力が覚醒。
以前は1日最大約1億ベルクで、かつ1億ベルクを出したオークション編では数日寝込んでいたのに、
今や1カ月で100億ベルクを出すまでに至っている。
単純に本来の生殖能力の向上と比例して能力も強化されているようにも思えるが、
過去の救世主像がすべて少年であることもあり、寿命が代償という展開も十分にありえるため、
非常に心配である。止めてあげないと。
また、大金を傍目に舌を出すグレシャム。
裏切者を許さないクルツ。
愚直に贋札製造に励むビオラたち と、
何ともトラブルの匂いしかない布陣である。
来週の展開が読めないが、各陣営それぞれの状況の整理がされ、
いよいよ衝突も近いのではないか。
レジャットがルークを発見した時の第一声は、
セーラー服に対しての感想だと予想しておく。
ハイパーインフレーション 28話感想
年明け一発目のハイパーインフレーション!
2022年はハイパーインフレーションの年となるか。
それなりに順調に贋札製造課題をクリアしていくルーク陣営。
ビオラも仲間に引き込み、完成は間近と思ったら、、、
■ルークはもっと可愛く!!もっとキュートに!!
手配書の指示としてどうなんだ(呆れ)。
ただ、出来上がったルークの手配書は結構写実的なので、
指摘する際の描いた絵が少々不細工だったのかもしれない。
最終の出来上がりはレジャットも見たはずなので、
レジャットがいつぞやヨゼンに渡したへたくそな絵は、
感性がおかしいわけではなく、単純に絵が下手なだけであることが証明された。
■顔の認知
人間の脳は見たままを見ているようで、その実多くの偏りがある。
現在顔の検知といえば、センサーの印象が強い時代だが、
本来人間の脳が得意とする分野である。
贋札殺しがメタ発言をしているが、
現代の紙幣が理にかなっていることを教養的に教えてくれる点は、
すごくハイパーインフレーションである。
■レジャットさん!!やってたでしょ!?
この描写を見て、贋札殺しはごまするのもうまいのか!と思って、
本家のコメント見たら同じツッコミがあった(どうでもいい)。
歯車で描く彩紋は、完成形を見てもその歯車を想像することが難しく、
手作業での模倣は困難であり、理にかなっている。
ここでもメタ発言で定規の話がでたが、
小学生当時はあのギザギザは一体何のためについているのかわからなかった。
贋札つくりのためだったとは(違)。
その後大ゴマで贋札殺しが絶対に(×3)偽造できないと豪語しているが、
同じく絶対にを重複して裏切れないことを強調していたルークの船での入れ替え案はグレシャムに台無しにされた。
■って出来ないんかーい
今までが順調にいっていたので、ここである意味初の躓き。
ギャラリーもドン引きである。
思ったよりしょうもないプロバガンダ紙幣作成の裏話だが、
好きと嫌いが混在した複雑な感情について、
その場にいた多くの者が共感を示した。
好きの反対は無関心ともいうが、
まさに感動とは必ずしも正の感情だけでなく、
嫉妬や悔しさがもととなる場合も非常に多い。
あと、ダウーが完全に恋愛脳中学生的思考になっているのが面白い。
■挑むは世界最高峰のベルク札
今までが順調だったのがたまたまで、
彼らが挑んでいるのは覇権国家が最新鋭の技術を費やして作成したものである。
ガブール神の力でじゃぶじゃぶ贋札作っていたから、忘れがちだが。
今一度チーム全体がその力を結集して、
この難題に取り組む様子は、少年漫画の熱さを感じる。
この場にグレシャムがいないので、変にチャチャ入れする人間がいないのも大きいが。
グレシャムがいないことも何らかの伏線の気がして怖い。
今回でようやく完成かと思えた贋贋ベルク札はおあずけとなったが、
持てる力すべてを尽くして次回には出来上がる気がする。
こんなに感動的に贋札を製造する漫画がこの世にあるだろうか。いや、ない。
ハイパーインフレーション 27話感想
2021年最後の更新(おそらく)となる27話。
着々と贋札製造に関する課題をクリアし、残るは版のみ。
最後のピースとなるのは……
■フラペコじゃなかった
器用貧乏とは名ばかりの超絶便利屋兼みんなのお母さんフラペコの出番かと予想していたが、さすがに専門家の力が必要なようだ。まあ、この件をフラペコが解決したら透かしに関してその道の職人連れてきた26話がギャグ描写になってしまうので当然か。
そのキーマンは元画家の「ビオラ」。プロバガンダ紙幣を作成していた経験があるとのこと。画家としての腕は確かであるが一筋縄ではいかない思想の持ち主であることがこの事実だけで読者に印象付け、ルークに限らずビオラに興味を持たせる描写は流石である。
「娼婦をしている」→「買いに行こう!!」→「息抜きが必要です!!」
の流れは完全に狙っていて最高だった。
■グレシャムの欲
ビオラは娼婦をしているようだが、グレシャムはそういったお遊びには興味もなく才能もないことを自負していた。ニュアンス的には直接的な性交渉というより、キャバクラ遊びに近いかと思うが、この怪人が本当にカネにしか興味ないことがさらに強調される描写となった。
年齢は60近いグレシャムなので、単純に生殖能力の衰退も相まっての発言という可能性はわずかにあるが、本当にカネ稼ぎにしか興味がないのだろう。どのような経緯を経てこのような守銭奴になったのかは今後触れられるとは思うが、彼の青年時代や過去の失敗エピソードは大変興味深い。
■江戸っ子気質のビオラさん
ビオラはまさかの一人称「俺」の江戸っ子気質としかいいようのない豪快な女性だった。ただ、別荘にいるツレには口調を変えており、これだけで娼婦としての人気が高い理由が垣間見える。
見せ金のハッタリに騙されてフラペコにお猿さん呼ばわりされているが、ルークのハッタリは当然のロジックであり、騙されてもしょうがない。
過去にも多くの男たちが言い寄ってきており、その中には知った顔も。
ヨゼン、、その交渉成功していたら刀も引き渡さなければいけないんだが、それでいいのか、、、。
グレシャムの10ベルクで交渉というそもそもセンスとかそういう問題ではない無茶苦茶な交渉についてはある意味ポリシーを曲げないという粋な生き方な気もする。10ベルクを払う時ですら滅茶苦茶嫌そうなのを見ると、船で金庫を捨てるように指示したこと、転じてルークに関して高い価値を感じていることが強調されてアツい。
■これが燃えている間俺のものになれ!!
ビオラでなくてもこんなんやられたら即粋不可避である。ビオラといいダウーといい、年上お姉さまを魅了することに定評のあるルーク氏。生殖能力が無いのが大変残念である。ダウーに与えられた能力がルークに与えられていたら、最強の雄が誕生していたであろう。
粋ーーッ!!に関しては粋か粋でないかが主軸になっていた時点で嫌な予感がしていたが、ここまで勢いのあるリアクションとは思わず、笑いが漏れた。
■贋札殺しとの過去
どうやらビオラと贋札殺しは旧知であり、どうも恋慕していたようだ。まだ分からないが。贋札殺しも初登場から毎回登場しているので、今後レギュラー化しそうだ。
当時は画家としてのつきあいだったのが、贋札殺しがカメラの登場で、画家の道を離れ、カメラではできない版づくりの道に進み、それを寂しく思うも自分も試したら才能があった。といった過去がありそうだがどうだろうか。
いよいよ贋札作り編も佳境になってきた。
レジャット陣営の動きは今回なにも描写されなかったため、次回でルーク陣営の準備完了とともにレジャット側も少しずつ追い詰める準備を進めるといったところか。
2022年もハイパーインフレーションから目が離せない。
ハイパーインフレーション 26話感想
紙の問題は難なくクリアしたルーク陣営だが、
紙幣の偽造は簡単ではなく、まだまだ課題が山積みなのだが、、、
■レジャットの推理力のすさまじさ
25話感想記事でも書いたが、
工場に侵入したガブール人をルークがけしかけたことについては、
今までのルークの性格や行動からすると不自然である。
レジャットはルークが能力を用いて信者を作っているという事実は知らないが、
能力を活用すれば救世主として信者をつくることができることを考慮し、
わずかなヒントから第三者の存在に気づき、探りを入れている。
井戸端会議のテンションが目立って流されがちだが、
やはり切れ者である。
そしてクルツも先手を打って店主の身柄を確保している。
やはり智謀の面ではレジャット級である。
普通の漫画だと物語を動かすためのドジっ子枠として生かされていそうな誘拐犯達を退場させている点も優秀だ。
彼らはそもそも娘を誘拐しているのだから殺されても文句は言えない。
■新米教祖 ルーク
ガブール人信者の尾行はクルツの発案だったかもしれないが、
ルークも認識した上での作戦であった。
無事帰還した信者に教祖らしく労いの言葉をかけるルーク。
ただし少年の心には自分の命令で信者の一人が命を失ったという思い事実がのしかかる。
腐った大人が多い中、マザーフラペコがそっと寄り添う。
今後ルークの心が壊れないか心配である。
■動力はダウー
力仕事、体力仕事はやっぱりダウー。
そして、まさかの自転車動力。
持久力も瞬発力もあるなんて最強すぎる。
■職人の矜持
紙幣最大の課題と言っても過言ではない透かしの技術について、ついに言及が入った。
機械に職を奪われた職人たちが非常に頼もしい。
職人が知識と経験に基づき淡々と機械の欠点を指摘するのは珍しい展開である。
ただ、今回の引きだけでは結局どの程度精巧に現在のベルク札に近づけられるかは明確にはわからず、
次回に引き継ぐ形となった。
彼らは精巧な透かしの技術は持っていても、繊細な絵を描く技術はあるのだろうか。
ん、そういえばルーク陣営にまだ目立った活躍をしていない手先が器用な男がいたような。
また、このマンガがすごい!2022にて、
ハイパーインフレーション11位にランクインおめでとうございます。
他の作品がかなり商業的にも成功している中、この評価を受けているということは、
やはり高い漫画力がなせる技であると感じる。
単行本も多くの加筆・修正がされており、
連載読者も買う価値は十分にあると思うので、
商業的にも成功させて来年こそは1位に輝いてほしい。
ハイパーインフレーション 25話感想
偽贋札を作成するために各種準備を進めるルーク陣営。
レジャット陣営はヒントを得るために製紙工場へと向かうことに。
■紙幣局局長「贋札殺し」
大層な異名だが、実際に25年間で313人殺しているとのこと。
ビジュアル・言動とともにかなり濃い。
だが、本名は明かされなかった。
祭りのときに贋札が使われやすいというインテリ小ネタ含め、
非常にハイパーインフレーションらしいキャラで好ましい。
工場見学の説明の手際や言い回しから有能さが伝わってくる。
■謎の闖入者
この作品にしては珍しい(?)考察要素となる謎のガブール人。
正体の候補は以下のいずれかといったところか。
①ルーク陣営の信者
②屈強なガブール人達の一人
③帝国への不満を持つ第三勢力
④紙の再利用の流れにもっていくためのただの舞台装置で特に意味はない
ただ、どれも今までの描写だけではしっくりこない。
正体がばれた瞬間に死を選ぶ気合の入りっぷりは①っぽいのだが、
秘密情報部をピンポイントで尾行するのはいささか内情を知りすぎている感は否めない。
②の場合、いくらローラーに巻き込まれたとはいえ、レジャットさんが気づくだろう。
③だと推理しようもなく今後の展開待ち。
④ではないと考えたいが、ガブール人の運命はいつも知らないところで勝手に決められちまうので、ありえなくはない。
個人的には①かつクルツの独断で依頼をしている鉄砲玉である可能性を推す。
■紙の問題
ルークの能力の詳細や贋札の品質を知らない贋札殺しにとっては、
そもそもレジャット達がここまで焦るのがわからない。
その代表格の問題として紙の原料の入手が実質的に不可能なせいだ。
だが、ルークには神の力による超精巧なコピーの用意が可能。
最終ページではレジャットも大ゴマでのツッコミをせざるを得ない。
■今後の問題
紙をクリアしても贋札製造までにはいくつもの工程をクリアする必要がある。
ただし、ルーク陣営はタレント揃い。
プレス機はグレシャムの密輸品かダウーのパワーで解決。
精密な図柄については、異常に器用なフラペコが解決。
となっていくと思う。
ハイパーインフレーション 24話感想
新札への刷新を5日で完了してみせるというとんでもない大風呂敷を広げた前話。そして24話ではレジャット劇場全開のすさまじい大立回り。対するルーク陣営も負けていない。勝利の落札者は一体誰になるのか。
■レジャットの新札発行案
シンプルながら効果的な切手を付与することで暫定的に新札として扱うという方法。一からデザイン刷新するより手軽かつ早い。かつ預金封鎖と現行の紙幣の使用禁止案内により、ハイパーノートの効力を封じるというもの。
当然、反対意見が出る出る。
実際、事情を知らない一般市民からすると、そんな短期間で現在の1万ベルクが使えなくなるなんて横暴としか言えず、銀行はパンク。極論暴動もあり得るだろう。
だが、効果は絶大で、ハイパーノートの被害の最小化、そのほかの贋札対策などの効果は見込める。決をとるが……
■ハイッ
残念。レジャットさんだけでした。
何人か賛成してもおかしくないが、一人も手を挙げないのは潜在的なガブール系への差別意識からか。
しかし、ここで仕込みの有識者が状況を見て動く。大仰なパフォーマンスでその差別意識を口に出すのである。結果、レジャットの目論見通りの展開となり、落としどころとしてルーク捜索のためのマンパワーを手に入れるのであった。『HUNTER×HUNTER』選挙編のジンのようだ。
差別意識を利用したレジャットの策略は見事だし、打合せになかったであろうガブール人発言を最適なタイミングで放った有識者の対応力も素晴らしい。レジャットと旧知であり、見た目がよくなく、男の子に詳しい有識者(である可能性)。
これ以上はやめておこう。
現代社会でも黒人差別の問題の裏返しのように、コンテストや映画のキャストなどの黒人優遇や登用が進んでいたり、映画『ゲットアウト』では、黒人にコンプレックスを抱く白人をネタとしている。人種の区別・差別など大変愚かしいことだと個人的には思うが、歴史上も何度も繰り返されていることから、今後も完全になくなることはなく、一見なくなったように思えても心の奥底では暗い感情を抱いたまま、陰湿な隔たりを作っていくのではないだろうか。
■新しい隠れ家
クルツの計らいにより郊外の城に拠点を移したルーク陣営。ダウーも大はしゃぎである。
フラペコが没落前はこの3倍はある城に住んでいたとのことで、想定以上にええとこの子のようだ。それが、あんなにみんなのお母さん的な万能な技能持ちになるというのだから、よほど壮絶な半生を過ごしたのだろう。
■ルークの攻め
船編の時の予想で、レジャットに対して別の贋札を使ったかく乱を行うのではないかと予想し外れたが、ここで偽贋札作戦勃発。
忘れがちだがルークは贋金つくりのスキル持ちのため、この案にたどり着く。グレシャムとの奇妙な縁を印象付ける演出も素晴らしい。
■今後の展開予想
まずレジャット陣営。
人海戦術が可能になることにより、ガブール系ヴィクトニア人たちが最近なにやら怪しい新興宗教のようなものにはまっている情報は入手できそうである。
そこでカードとして切ってくるのは、そう、屈強なガブール人達である。
ガブール人達は帝国への上陸を拒否された後、一切描写がなく、現在何をしているか全く不明である。実は、あのあと思い直したレジャットが身柄を預かっており、ヴィクト語の学習を続けていれば、ルーク陣営の情報を探るスパイとしては適任である。ヨゼンは6カ月でほぼマスターしているので、カタコトレベルであればいけそう。ガブール系の集まりのみであれば、ガブール語でコミュニケーションとるだろうし。
ルークも約30人いたガブール人達全員の顔は把握していないだろうし、信者一人一人の情報などわかるはずもない。潜入し、居場所を突き止めることで彼らにとっての救世主であるレジャットへの貢献をしたいというモチベーションもある。
ルーク陣営は、ハイパーノートの貯蔵と偽贋札作りが直近のミッションなわけだが、金と違い、札の偽造はかなり困難なのではないだろうか。25話では冒頭苦戦を強いられるはずだ。
が、その膠着状況を打破するのはキングオブ器用貧乏 フラペコだと予想する。フラペコが一晩でやっちゃう展開あると思う。
ハイパーインフレーション 23話感想
ハイパーインフレーションは経済漫画だった(今更)。
珍しく前回感想記事の予想展開がほぼ的中し、
帝国陣営での状況整理とコレット先生による金本位制経済の基礎のお話。
ルークという最強の印刷機を前に帝国のとる対応は……。
■男の子に詳しい有識者もだ!!
その枠はレジャットでいいだろ(終)。
今回全体的にまじめな展開なので、
パワーワード的な傑出度が妙に高い。
ゼニルストン自治領の議論といい、
妙に勘がいいモブがいるのが笑える。
議論していた有識者の中の誰かが男の子に詳しい有識者だと思うと、
ヴィクトニアの人材の豊富さに驚くばかりだ。
多分招集できなかったとは思うが。
ただ、真面目な話、ルークぐらいの少年の心理に詳しい、
子供の行動学者とか出てきたら、
ルークの次なる一手の推測に役立ちそうではある。
■レジャットの主張
ルークの贋札奪取には失敗したレジャットではあったが、
ヘアンがルーツのケシはちゃっかり入手していた。
相変わらずの巫女のコンプラ意識の低さに驚愕する。
ただし、物証として弱いのは事実。
当然のように根拠の弱さを指摘される。
祖母が奴隷だったことをさらっと言ってたが、
レジャット自体は生粋のガブール系ヴィクトニア人という予想通りの結果だったといえる。
差別と事実を切り分けて考えることは現実世界でも非常に難しい。
時に事実は差別によりゆがめられ、因果関係や善悪の尺度を公平に客観的に評価できない場合が多い。
その事実をしっかり認識して議論しているだけでも、
ヴィクトニア帝国の中枢はそこまでは腐っていないことが分かり、
グレシャムの奴隷貿易の摘発の指摘を正当に評価していることからも、
少なくとも表面上は世界の覇権国家としての模範を指し示す意思は見て取れる。敵国に贋札はばらまくが。
そういえば屈強なガブール人達はどうなったんだ。
スペトの存在は帝国側も迷信としては認識しているようだが、
500年前の混乱の情報が残っているということになる。
レジャットは過去の王たちの情報を巫女から聞いたと言っているので、
イエフやタツバは帝国は迷信レベルでも知らない可能性はある。
植民地相がルーク達の消息が分からない状況に対して、
どこかに潜伏している可能性を示唆していたが、正解である。
で、植民地相という立場上、ゼニルストン自治領に発想が及んでもおかしくない。
■コレット先生による経済講座
非常に分かりやすい金本位制と兌換紙幣についての解説。
驚き役としてヨゼンがアホっぽい描写があったが、
半年前まで、鎖国している日本的な国家にいたことを考えると、
十分すぎる知性レベルではあると思う。
そしてコレットの経済に関する高い教養は素晴らしい。
銃に欲情する変態なのが惜しいところ。
ただ、経済に関する知識はレジャットからの受け売りな気はするが。
■ルーク陣営の状況
10億ベルクまで贋札の規模を拡張していたルーク。
さらに1日1億ベルクの上限まで突破しノリノリである。
今回で、流通しているベルクが4500億ベルクであることが判明しており、
グレシャムが言うように政府との交渉には365億ベルクは欲しい気がする。
そもそも信者の必要数の確保や各地への贋札配備を考えると、
数カ月の準備期間はいりそうな気がするのだが……。
■レジャットが5日でやってくれました
5日は早すぎるだろ!としか思えないが、
レジャットの具体的な作戦とは一体……。
もし、ほんとに5日でやってしまったらルーク陣営は完全な積みだが果たして。
経済漫画としても一流であることが今回再確認できた。
ジェバンニも真っ青なレジャットの計画詳細が非常に気になるヒキで次回。
相当な強硬策だろうが、まさか紙幣のデザインも自分でやるつもりか…。あの画力ではむりだーーー。