warayamanga

主にハイパーインフレーション(漫画)について書いていきます

ハイパーインフレーション12話からみる今後の展開の考察

 

さて、毎度毎度引きの時点での情勢が目まぐるしく動く本作だが、

今回は全体を通して説明・準備が中心で、現状の整理を行ったのみで、大きな動きはない。

次話以降から、レジャット・屈強なガブール人の陣営と、

ルーク・グレシャム・フラベコの陣営による、

主導権の握りあい・探り合いに向けての土台形成といった回だった。

いくつか気になる点をピックアップする。

 

■ダウーの暴力を手にするのはどちらの陣営か

 

ダウーの規格外の暴力は、武器がすべて廃棄または使用不可となっている現状では、

重要なファクターである。

ダウーを制するのは、実質ハル人形を有することと同義であり、

現状ではレジャットがおさえている状況である。

 

ルークがハル人形を手中にするためには、

今や救世主と化したレジャットが目を光らせる中では厳しいように思う。

ただし、ルークは求心力を減退させられたとはいえ、屈強なガブール人に対して失態や裏切りがあったわけではないので、決して攻撃対象ではない。

以前よりダウーに同室で言葉の教育などをさせていたルークを遠ざけるのはいささか不自然であり、

レジャットも強硬策は取りづらいのではないだろうか。

 

そして、ダウーがいつまで制御できない暴力としての立ち位置のままなのかも気になるところ。

現状は嘘食いにおけるロデムのような敵味方関係なく暴れるバーサーカーでしかない。

ただ、ほぼ伝わっている描写はないが、ルークが言葉を教えようと奮闘するシーンもあったため、

帝国までの1カ月をルークとダウーを同室で過ごせたら、

言葉を話せるレベルまで到達しなくとも、ダウーの知力向上により、ロデムではなくマルコ化する展開もありえるのではないだろうか。

 

レジャットがハル人形を手中におさめても、

ダウー自身がそれが人形であることを理解し、

ルークがまだ生きている本物のハルを助けに行こうとしていることを理解して、

ルークと行動を共にする展開だとアツい。

 

■レジャットの演説の内容

 

今話では基本的にレジャットは脳内の思考のみが文章化されており、

屈強なガブール人たちに演説した内容は一部以外書かれていない。

だが、この際に帝国でのし上がるために必要なことを吹き込んでいるのは間違いなく、

私はこの時の内容が、ヴィクト語の習得と大量のベルクの2点が重要という2点だったのではと考える。

 

先のダウーの考察に引き続き言語のネタだが、現状はレジャットさえいなければ、

ヴィクト語でルークたちは情報交換や作戦立案し放題であり、

ガブール人がヴィクト語を理解する必要があると意識したことは、

公の事実でも隠された事実でも今後の話の展開の仕掛けになるのではないか。

 

大量のベルクは戸籍や住居を不法入国者であるガブール人が入手する場合には原資となるカネが大量に必要であり、

ルークの能力発動を促す装置的役割を期待している側面が考えられる。

 

■レジャットの今後の動き

 

レジャットの目的は言わずもがな、ルークを帝国に持ち帰ること、

及びハイパーインフレーションを防ぐための偽札の情報を得ること、

この2点を考慮した場合、グレシャム・フラペコ・配下は不要で邪魔なため、

すぐにでも殺したいと考えるだろうし、

屈強なガブール人としても仲間が何人か殺されていることや、

そもそも憎い対象であることを考慮するとそれに同調するだろう。

 

ただ、その動きはルークが阻止するだろう。

フラペコは船の操舵のためにも必要な人材で、

グレシャムは帝国での利用価値があるといったあたりで、

捕虜扱いが限界だと考える。配下は皆殺しかもね。

 

となると、帝国までの一か月の船旅はルークの偽札入手がメインとなるが、

普通に考えれば強硬策以外では、ルークはこの状況で偽札を出すメリットもないし、

強引にいこうにもガブール人達を無視できない。

帝国のスパイであることがばれるとレジャットも立場逆転して、

一気に求心力を失い、ガブール人の数の暴力で捕虜になるリスクも持っている。

 

この点をレジャットがどういう作戦を立てるかが見ものだが、

先の演説でカネの話をしてたら、カネをルークが持っていた話を広げて、

ガブール人を扇動して、ルークにけしかけるといったことはありそうである。

 

■ルーク陣営のレジャット陣営への対抗手段

 

ルークはガブール人からの求心力を削がれ、

グレシャム・フラペコ及びその配下たちは縄で縛られている。

圧倒的に不利な状況で一カ月の航海中にレジャットの包囲網を逃れる手を打たなければならない。

 

当然武器の類も没収されているであろうから、

キーとなるのはダウーの暴力となるが、

ダウーが味方になった場合でもガブール人達のみに暴力を振るうかというと、イメージしづらい。

 

そこで、ルーク達の切り札と考えられることとして、

大胆な予想ではあるが、未だ中身が完全に明かされていないグレシャムの金庫の中身に、

ベルク札以外の重要なアイテムが残っているのではないか。

 

ただし、あまり露骨な兵器や武器は考えにくい。

私の予想はグレシャムが昔関わっていたとされる偽札がまだ数枚から数十枚、

金庫に残しているのではないかというものである。

 

 

■13話以降の展開(妄想)

 

上記事項をもとにした展開予想は下記。

 

 

レジャットは邪魔なグレシャム・フラペコを排除しようとするが、

ルークの反論により捕虜として軟禁することとなる。

 

ルークの金の情報を知るために、船を調べるが、現存する偽札が無いことを確認したレジャットは、

新たにルークの力によって偽札を産み出す状況を作るべく、

金の重要性を説いたガブール人をけしかけ、

ルークが大量のベルクを保有していると嘯き、追い込もうとするが、

もっとまとまった金を入手する方法があると宣言するルーク。

 

それは、結局捨てられることのなかったグレシャムの金庫である。

グレシャムは心底嫌そうな顔をしながら、

しぶしぶ金庫を開けるとそこには大量のベルク札や財宝が保管されていた。

 

歓喜に沸き立つ屈強なガブール人を横目に、ルークは金庫からあるものを盗むことに成功。不適に笑うルーク陣営。

その手にはかつてグレシャムが関わっていたとされる偽札。

ここまでは彼らの作戦であり、自然な形で金庫を開けて、

ルークのものとは異なる精巧な偽札を入手し、

レジャットに、この偽札をつかませることで、レジャットの目的のうちの一つをクリアしたと思いこませることが彼らの作戦だった。

 

ルークの能力で生み出す偽札ほどの精巧さはないものの、

疑り深いレジャットにいかにこの偽札が能力で出したものかを信じ込ませるか、

ルークが商売で培った交渉術の腕の見せ所である(引き)。

 

 

この展開であれば、一ケ月の航海の安全も手に入り、

屈強なガブール人もルーク陣営に対して暴力を振るう必要もなく、

ポイントは帝国到着後にいかにレジャットから逃げるかという点に焦点が移り、

頭脳戦が展開されるので、金庫の中身に偽札があるという予想が突飛なくらいで、

あり得る展開ではないだろうか。

 

ただ、今までの話も予想は裏切り、期待は裏切らない展開が続いているため、

先が全く読めないのも事実。

次回更新が番外編とのことで、答え合わせは相当先ではあるが、妄想がはかどるのでよしとしよう。

次回の番外編はダウーの過去編とかだと個人的には嬉しいが。

 

[12話]ハイパーインフレーション - 住吉九 | 少年ジャンプ+