ハイパーインフレーション フラペコに関しての考察② ※13話時点
簡単な船(数十人が1カ月遠洋航海できる規模)の操舵が出来て、
グレシャムが最も欲していた保険証券を見つけ出し、
船の揺れさえなければダウーも撃ち殺せていて、
ダウーのグレーチングによる攻撃でもほぼノーダメージのフラペコ。
12話以前の描写だけでも十分すぎる有能ぶりだが、
13話でさらにその有能度がインフレを起こしている。
つい先日まとめたばかりだが、今回の新情報について触れたい。
■グレシャムからの厚い信頼
囚われの身となったグレシャム商会の面々。
おあつらえ向きにその他大勢の収監されている部屋と、
グレシャム・フラペコの二人だけが収監されている部屋と別れている。
失った財宝や今後科される罰金のことを思い、涙するフラペコだったが、
そこでグレシャムが一言。
「なあに お前が残ったじゃないか!!」
えぇ!?
フラペコ含め読者の大半が驚いたであろう。
奴隷たちが反乱を起こして地獄絵図と化したオークション会場に放置して、
奴隷船で合流しろという無茶ぶりをした男の発言とは思えない。
まあ、それも信頼の証だったのだろう。
以前の記事でグレシャムの目からフラペコの価値は500万ベルクはあるのではないかと書いたが、
それどころではなそうだ。
暫定1位のルークよりは低いだろうが、
フラペコさえいれば這い上がれるとグレシャムが考えていることを思うと、
数千万ベルクは堅そうである。
■15年前の出会い
その信頼関係は長い付き合いに起因する。
二人の出会いは15年前にさかのぼる。
フラペコは革命で故郷を追われた孤児で、
密貿易業者をターゲットにした泥棒家業を生業にしていた。
密貿易のため、一旦浜辺に埋め、その後に取りに行く、
受け渡しと引き取りの隙間を狙い横取りするという手法である。
さらっと書いてあるが、隠し場所の確認や実際に取りに行くタイミングや労力を考えると、
一人での完結はかなり難易度が高そうな方法で、フラペコの有能さがうかがえる。
そんなフラペコだが、グレシャムの密輸品に手をつけたことで、
グレシャムに罠をかけられた。
密輸品の箱の中に潜み、フラペコの盗みの現場を押さえた。
「ばあぁぁ~~」
トラウマものの驚きだったのだろうが、
フラペコが本当に驚いたのはその後で、
「素晴らしい!!一緒にカネを稼ごう!!」
グレシャムは報復など一切興味が無く、
目の前の有能な人材の確保及び、他の業者の密輸品を盗むチャンスととらえての勧誘である。
グレシャム自体は儲けの最大値を狙ったのみで、心情的な部分を計算して行っているわけではないだろうが、
フラペコにとっては盗みを現行犯で押さえられ、死を覚悟した状況からの安堵感に加え、
ずっといろんな人間に蔑まれ(想像)、自分の能力など褒められたこともなかった(想像)フラペコが、
能力を認められ必要とされた喜びは想像に難くない。そりゃ泣くよ。
フラペコのグレシャムに対する絶大な忠義心は当時の出会い及びその後15年間苦楽を共にした日々によるものなのだろう。
いい話だが、彼らは大悪党であり、ハル姉が売られる原因の一端である。お忘れなきように。
以前の記事では、グレシャムに対して恋慕の気持ちをいただいているのではと予想したが、
当たるとも遠からずといったところか(自分に甘い)。
グレシャムの見た目と服装がまったく変わっていないのはギャグ演出なのか、何か意味があるのかが微妙なラインである。
一方フラペコはこの当時はもみあげが普通だった。
15年間の間にグレシャムから何か指摘があったのではないだろうか。
「お前は見た目が温厚そうだから相手になめられるんだ。もう少しワイルドにしたほうがいいな、、そうだ!もみあげを限界まで長くしろ!」
とかで、伸ばしたもみあげを今でも律儀に伸ばし続けているのかもしれない。
■みんなのお母さん フラペコ
船の管理が限界だったことと、ルークへの罠の目的でフラペコ釈放。
屈強なガブール人達が船の管理を疎かにしていた点を指摘しまくる。
ただ、いくらなんでもさぼりすぎである。
煤はともかく、服を脱ぎっぱなしにしたら彼らは全裸になると思うのだが。
ガブール人はそもそも狩猟以外は歌や踊りや祈りに時間を割くので、
そもそもこういった労働は不向きなのかもしれない。
ルークが巨万の富を得たとしても、ガブール人達の本質は変わらないのではないだろうか。
■フラペコが手先が器用で優秀だということは、そんなに珍しい変則パターンじゃないので簡単にわかりました(笑)
そして、問題のシーンである。
個人的には絵面的な面白さは13話随一だと考える。
ルークのサインの法則を速攻で読み解き、
かつ超高速で返答しているのは、有能を通り越して変態の域である。
この程度誰でもできますよというセリフ(ハンドサインだが)は煽りではなく率直に言ってそうなのが、
フラペコの自己肯定感の低さと、グレシャムの日々の要求水準がいかに高いかを物語っている。
ただ、もしかしたら前述のグレシャムとの関係性の件で、
ルークがグレシャムに商売の腕を買われていたのを未だに訝しげに思っており、
嫉妬心から、けん制の意味を込めて本当に煽っている可能性はある。
だが、フラペコよ。安心してほしい。ルークはグレシャムのことは嫌いなので。
ここまで有能だとガブール人の言葉がわからないのが不思議に思えるほどだ。
描写が無いだけで、既にガブール語を日常会話レベルならマスターしてそうだ。
「この程度誰でもできますよ」
■ダウーさん めしあが… スパァァァン
ギャグ描写のようだが重要なシーンであると考える。
まず、フラペコは料理がすごく上手だということがうかがえる。
1P目のダウーの食事はパンのようなものと飲み物(壊血病対策のライムやレモン水?)だった。
一方、このシーンで渡しているのはなんだかうまそうなスイーツのようなヴィジュアルの料理。
もう帝国も近づいて食料の種類や量の減り、鮮度も落ちている中限られた環境下で用意している。
見た目的にはゼリーのようにみえるので、海藻から寒天質の成分を抽出したのかもしれない。
この点は料理に詳しくないので、有識者の見解が欲しい。
初手こそ平手打ちをくらってはいるが、
食い意地のはったダウーのことだから、
その後はおいしく召し上がっただろう。
別記事で考察したが、この胃袋つかむ作戦を経て、
ダウーとフラペコの間でヴィクト語で脱出作戦に必要な協力をとりつけたというのが私の予想だ。
一気に魅力爆上がりとなったフラペコ。
14話では目論見通りその策は炸裂するのか。
それともレジャットにつぶされてしまうのか。
ただ、ここまでレジャットに辛酸を舐めさせられ、
親愛なるグレシャムに対して舐めた言動をしてきたレジャットに対して精一杯のリベンジをかましてほしい。
フラペコ「レジャットさん、あなたはすごい人だ。でも、あなたはグレシャムさんに逆らったのですから、覚悟してください。」